子どものころは勉強の意味なんて本当によくわからなかったし、
「円の面積を求めることが出来たところで何になるんだろう」
と疑問に思ったのを覚えています。
一番身近な大人は専業主婦の母でしたから、円周率とか植木算とか、歴史だの物理だのって大人になったら使わないんだなーと感じていたんです。
父は特殊な職業でしたから常に勉強していたのですが、それは
「選んだ職業次第で常に勉強が必要なのね」というイメージでした。
勉強内容も特殊でしたからね。
過去を振り返って色々と思いはしますが、「今の自分が子どもに戻れたら勉強するようになるか?」と考えましたがなりそうもない。
でも子供には勉強は価値があると知って欲しい。
子どものころからの積み重ねで、どれだけ時間が有効に使え、どれだけ選択肢が増え、どれだけ自由度が増すことか。
小学校に上がり、これから知恵を付けていく我が子に
「なんで勉強しなくちゃいけないの?」という発言が出る前に、親である私が自分なりの答えを持っていたい。
ということで、本書を手に取りました。
勉強の価値 森博嗣 著
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帯のフレーズに注目。
子供が勉強しないのは、大人(あなた)が勉強していないから。
ワンフレーズで耳どころか胸も痛いです。
その通りだと思います。
社会人となり、早20余年。
勉強している時期もありましたが、勉強していない時期の方が圧倒的に長くなったと感じます。
そうですね、幅広い知識をインプットするという点においては、読書も勉強のうちでしょう。
ただ、アウトプットの方が断然勉強になるって聞きます。
著者の森さんもそうおっしゃっています。
大学で講師をされた経験が圧倒的に勉強になったと。
ということで、今回も著者紹介からです。
著者の森博嗣さんってどんな人?
1957年愛知県生まれ。工学博士。
某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー。以後、犀川助教授・西之園萌絵のS&Mシリーズや瀬在丸紅子たちのVシリーズ、『φ(ファイ)は壊れたね』から始まるGシリーズ、『イナイ×イナイ』からのXシリーズがある。
Amazon:著者紹介参照
お名前は ひろつぐ ではなく ひろし さんです。
すべてがFになる、って聞いたことある!!
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ドラマやコミックになっていますね。
「勉強の価値」は実用書にカテゴライズされると思うのですが、実用書と小説どちらも書く作家さんなのですね。
現在は森の奥に住んでいて、2年に1度くらい町にでるという生活をされているそうです。
コロナとか全然関係なさそうで平和かも。
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勉強は大人がするものである
勉強は大人がするもの…
4年制大学に行くことを前提とするならば、
小学校6年
中学校3年
高校3年
大学4年
合計16年間は勉強をしに行く場所へ通うことになります。
子どもから大人になるまでの、16年間もの時間を費やしていることが勉強だと思っていましたが、どうやら違うようです。
森さんはこうおっしゃっています。
さて、明確な目的を持つためには、少なからず人生経験が必要だろう。世の中に何があるのか。自分の可能性はどの範囲なのか。そういったことは、二十年くらい生きていないと理解することができない。つまり、夢を見るためには、最低限の基礎的なことを学ぶ必要がある。
そうしたうえで、自分はこれがしたい、というものを見つける。それからが、本当の勉強の始まりである。もう、そうなれば「楽しさ」というエネルギィによって、たとえ誰かに止められても前進し続けることになるだろう。
したがって、勉強は大人のためのもである。子どもが学校で習っているのは、大人になってから本当に楽しい勉強ができるための基礎体力をつけているようなものだ。
勉強の価値 P30
なるほど、何事にも基礎が大事。
大人になるにつれて、世の中には国語や算数、理科、社会に溢れているし、その知識が日々役立っていることも理解できるようになりました。
小さな不都合をいろいろなところで経験し、多少なりとも「もっと勉強していたら」と感じて生きてきている大人にとって、勉強には価値があることが、頭だけでなく体感として理解できるようになるんですよね。
いまやっておいた方が後が楽だ。
そのうち楽しくなるよ。
基礎練習は地味だけど、やっておいて損はない。
と大人たちが言うのは、経験値があるからなんですよね。
親が子供に先回りして勉強させようとあれこれ説明したところで、テストで悪い点数を取って怒られること以外、身近なところで不都合を体験していない子どもにはなかなか理解できないわけです。
むしろ
こんな面白くない事やれなんて、無理に決まってんだろ。
と反発されるのがオチという。
子どもには勉強はつらいもの、と現実を教えた方がお互いの関係をこじれてしまうことはなく、むしろ真実を伝えることで信頼関係が結べるとも書かれていました。
なるほど、それは一理あるかも。
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勉強は、好きなことを見つけたときにこそ役立つ
森さんは小学校4年生のときにラジオを組み立てた経験から、基礎的な勉強が役にたつことが分かったそうです。
その後は楽しく勉強することはなかったようですが、研究室に所属してから本当に勉強する楽しさに目覚めたそうです。
そもそも勉強する範囲を自分で選べるという自由度があることが、子どもの勉強とは違って楽しさを感じられた要因とも。
だから
という、大人が子どもにもっともらしく言いがちなセリフは、全然違うとのこと。
確かに大人が働くときには、数ある選択肢の中からある程度自分の好みのものを選べるという自由度があります。
子どもの勉強にはそれがなく、決められたことを先生が言ったとおりにこなさなければいけません。
でもそこに価値がある。
子どもが学校で習っているのは、大人になってから本当に楽しい勉強ができるための基礎体力をつけているようなものだ。
自分が社会人になってから経験してきた中でも、学校で習ったことが役立ったことは数知れず。そもそも新聞読めるとか、学校教育のたまものでしょう。
大人になったときに基礎体力がないと困るだろうことは、想像に難くないですね。
子どもにはどう伝える??
勉強の価値の伝え方
勉強に価値があるとすれば、大人になったいま勉強しないのは何故なのか?
と言い訳ばかりが出てきますが、「勉強って楽しいよ」という話をするのであれば、なぜその楽しい行為を大人がしているところを見たことないのか、子ども側としては疑問に思いますよね。
読書って楽しいよと言いながら、自宅で親がスマホを見てばかりなら、
「大人になったら読書は楽しくないのか?」
「そもそも騙されてるんじゃないか?」
などと思われても仕方ないわけです。
自分が嫌いだったものを、子供に好きになってほしい、というのも、虫が良すぎる。
自分ができなかったことを子供には実現してもらいたい、と考えるような親の言うことを聞く子どもはいない。たとえいたとしても、大した大人にならない子供である。
勉強の価値 P90
そうなんですよね、親の背中を見て子どもは育つといいますが、だらけている親が「勉強しろ」と言うことほど子どもにとって不公平に感じることはないかなと思います。
そこでやる子はすでに何かしらの不都合を感じているのか、親を反面教師にしているのか。
森さんの言う「大した大人にならない子供」という意味は、指示されたことをやればいいとか、自分で考えることをしなくなってしまった子供だということかと感じます。
勉強は楽しいよという幻想のような言葉は使わず、大人が楽しんでいる姿を見せること。
なんにしても、親が何かに向かって真剣に取り組んでいる様子を見せれば、子供もそれに倣って目の前にある課題に取り組むかもしれません。
すべては親の姿勢にかかっている!
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まとめ
子どもに勉強して欲しいなーと思う保護者はかなり多いですよね。
理由はなんであれ、大人になった時に困らないように、という思いは共通しているでしょう。
その中で、子育て中のいまでも勉強しているという親がどのくらいいるのでしょうか。
もちろん私も勉強しているとは言い難く、親として子供の手本になれているとは思えません。
だがしかし!小学校に入学した子供が今まさに勉強をスタートしました!
大人も勉強するという姿を、なるべく多く見せられるように取り組めたらと思います。
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